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鎖を引きちぎれ!

2010/11/06 Sat 11:31

鎖を

先日、凄い犬を発見しました。
それは、僕が住んでるマンションの近くにある一軒家の玄関先で鎖に繋がれていた犬なんですが・・・・
それは、中型の日本犬の雑種でした。

まず、とにかく、どーしたらそーなるのか?というくらいの奇抜な歌舞伎ヘアーです。

「ややや!犬のくせにアフロか?!」

と、僕がそのアグレッシブな犬を見ながら驚くと、その犬は、まるっきりやる気のない貪よりとした目で1度ジロッと僕を見て、そしてまたゆっくりと瞼を閉じました。

僕は、こーみえても犬が好きです。
若い頃は、ドーベルマン、ブルドッグ、土佐犬、と獰猛系(カンキツ系みたいな感じですがドウモウと読みます)ばかり飼ってました。
オヤジになってからはゴールデンレトリバーなんていう軟弱系が好きになりましたが、しかし、基本的にはペットよりも、路地裏をうろつく日本犬雑種の野良犬が好きです(新宿にはまだ野良犬がいます!)。

だから僕は、そんなアフロ犬を見て堪らなくなっちゃって「おぉい・・・」なんてヒトサライみたいな猫撫で声出して、そいつに近付いたんですが、しかしそいつ、人がせっかく猫撫で声を出してやってるというのに、僕が近付くと「うぅぅぅぅ」って唸るんです。
しかも、目を閉じたまま、牙だけムキ出して「うぅぅぅぅ」ですから、失礼にもほどがあります。

この野郎、イジけた野郎だな・・・なんて思いながら更に近付くと、いきなりガッ!と起き上がって、ホラー映画みたいに「アガぁ!」って威嚇しやがったんです。鎖ギンギンに引っ張りながら・・・・

「なに怒ってんだよおまえ・・・」と、育ちの悪いムツゴロウみたいに言いながら、そいつを近くで見ました。

そして思いました。

こりゃあ、イジけて当然だわ・・・・

近くで見ると、ヤツのそれは、カリスマ・トリマーが腕によりをかけたアフロではないのです。
そうです、ヤツの身体中でモコモコしているそれは、なんと巨大化した毛玉なのです。

ヤツのマイホームである木製犬小屋は、もう廃墟マニアなら随喜の涙を流して喜びそうな(いずきちさんならきっとチビリます)、それはもう朽ち果てたボロッボロの小屋です。
いや、小屋と言うか、それはもう屋根ですね。
四方を囲む壁はバリバリに破れ、そこにかろうじて屋根らしき物がポテッと置いてあるだけですから、それはもう小屋と呼ぶべき物ではなく、屋根と呼ぶべき物なのです。

そして、その小屋の横から裏にかけて、大量のコンビニ弁当の空箱が捨てられ、空き缶やペットボトル、そしてタバコの吸い殻がウジャウジャと散乱しております。
小屋の前に置いてあるボコボコの鍋の中には、みそ汁をぶっかけたと思われるグチャグチャのメシ(煮干し入り)が、まるで昭和のアニメの大盛りご飯のように山のように積み重ねられ、そこには大量のハエがブーンと群がっておりました。

これは、エサではなく、もはや生ゴミです。

これは凄まじい家庭環境だ・・・・・
フィリピンの奥地レベルに負けない最悪な家庭環境で育った僕も、さすがにこの悲惨な状況には背筋がゾゾッとしました。

ヤツは、そんな僕にガルルルルルル・・・・っと牙を剥き出しては威嚇しております。
ギンギンと引っ張るサビだらけのクサリが今にも引き千切れそうで、その危険度は、機嫌が悪い時の川俣軍司と路上で擦れ違うくらいのスリル満点な危険度なのです。

kawamata.jpg
(川俣軍司・1981年東京都江東区の商店街の路上において無差別殺人事件を起こしたシャブボケのおっさん)

「おい、そんなにイジけんなよ・・・」
僕はヤツとのセーフティゾーンを保ちながら、ゆっくりとヤツの前にしゃがみました。
そして、一緒にいた22才の同居人の女に、「あそこのコンビニでソーセージでも買って来いよ」と、少し離れたコンビニを指差して言いますと、その馬鹿女は「オッケー」っと物知り顔で走り去って行きました。

さて、そんな僕をこの狂犬は、いったい何と勘違いしているのか、「ゼッテェ噛み殺してやる!」的な視線で睨み、クサリをギンギン言わしては襲いかかろうとしています。
ものすごく哀れです。
すごく哀しいヤツです。
ヤツはクサリに繋がれている事を己が一番知りながらも、それでも僕に襲いかかろうと、己の首を首輪でギュウギュウと締め付けては、苦しみながらも唸っているのです。

ヤツのそんな目は完全に狂ってました。
今まで、ドーベルマンや土佐犬など、かなり危険度の高い獰猛なヤツを飼って来ましたが、あれほど喧嘩っ早くて短気なヤツらでさえ、こんな恐ろしい目をした事はありません。

そんな僕は、こいつと同じ目をしたヤツらを見たことがあります。
そう、あれは僕がまだ少年時代、二度目にぶち込まれた「特少」と呼ばれる特別少年院の中で、やはりこんな目をしたイジけたヤツを見たことがあるのです・・・・

特少というのは、主に再犯を犯した少年や重罪事件を犯した少年といった、いわゆる、少年時代から既に社会不適合者という烙印を押された糞ガキ共がぶち込まれる少年院です。
そんな最悪な少年院の中に、第2学寮という寮がありまして、そこは特少の中でも更に特別な危険人物が収容されている寮でした(少年院によって呼び方は違います)。

幸い、僕はその隣の第3学寮という、比較的穏やかでインテリで知能指数が高くて上品な少年達(あくまでも不良のレベルで)が収容される寮にいましたので、彼らとは一応隔離はされていたのですが、しかし、夜な夜な、そんな隣の第2学寮からは、不気味な雄叫びが聞こえて来ていました。

「いいかぁ!てめぇら必ずぶっ殺してやるからなぁ!覚えとけよぉぉぉ!あぁぁ!」

鉄格子から月夜に向かって吠えてます。
そう吠えてる少年Kは、既に人を1人殺しております。
なのにまだ殺し足りないのか、そう叫んでいるのです。
彼は完全にアッチの世界に逝ってる人でした。
機嫌が悪いと、ウンコは身体中に塗りたくるわ、箸を飲み込むわで、そりゃあもう大変な厄介者なのです。

ヤツが吠えると、すぐさま連鎖反応が起きます。
誰かが石鹸箱を鉄格子にガンガンガンガンと叩き始めると、別の誰かが「わあっ!」と泣き出し、そしてまた誰かが「アギヤャャャャャャャ!」と叫ぶと、また別の誰かが扉にドーン!ドーン!と体当たりを始めます。

隣の寮にいる僕らは、また始まったよ・・・と、眠い目を擦りながらボンヤリと灯った天井の白熱灯を見つめます(基本的に監獄は真っ暗になりません)。
ヤツラの騒ぎが収まるまで、僕らはうるさくて眠れないのです。

しばらくすると、「おーいKくーん」といった先生の声が、外の中庭から聞こえて来ました。
この少年院は、消灯になると寮の鍵は全て掛けられロックアウトです。
たとえ先生でも、消灯後は寮の中に立ち入る事ができないのです(昔、夜中に共謀した少年達が、当直看守の鍵を奪っては集団脱走したらしく、それからこの少年院ではそんなキマリになったらしいです)。
ですから、先生は中庭から寮の居室を懐中電灯で照らしては、「おーいKくーん」と話し掛けていたのです。

「デメェ!ドッ、このヤドウ!ブッ殺しでやどうがぁ!あがぁ!」

Kくんはきっとヨダレを垂らしながら、中庭の窓に嵌め込まれた鉄格子に体当たりしつつ先生に向かって吠えていたのでしょう、その言葉は支離滅裂です。
刑務所でこんな言葉を先生様に吐こうものなら、直ちに大勢の保安課が「キサマー!」と飛んで来ては、速やかに懲罰房へ摘まれます。
しかし、ここはショーネンイン。
あくまでもショーネンインは、キョーイク施設なのでございます。
しかも、相手は精神的に完全に逝っちゃってる少年なのです。
Kくんと言えば、バケツ一杯分くらいのシャブが体内に貯蓄されていると噂される筋金入りのシャブボケです。
だから先生様は、そんなKくんを刺激しないように、優しく穏やかに話し掛けては、静寂な夜を取り戻そうと必死なのです。

すると、そんな先生様の必死な催眠術にひっかかったKくんは次第に興奮を治め、そのうち1人2人とスヤスヤ眠りにつくと、今までの騒音は嘘のように静寂な監獄の夜へと戻ったのでした。

「ここは夜の動物園か!」

と、僕は、おにぎり煎餅布団(日本の監獄の布団は全ておにぎり煎餅の柄なのです)の中で、何度そう叫んだ事でしょう。

そんなシャブボケKくんを始め、親殺しのCくんや、児童集団ひき逃げ犯のTくんや、意味不明に兄貴分のコメカミにピストルを撃ち込んだノイローゼのYくんや、彼女を焼き殺したMくんなどなど、そこは、キチガイ病院から精神鑑定されて移送されてきたツワモノ達が詰まっている恐怖の特少第2学寮ですから、それはそれは恐ろしく、そしてどっぷりとイジけた野郎共がいっぱいいたのです。

そんなヤツらと少年時代に寝食を共にして来た僕ですから、この怒り狂ったアフロ犬の、どっぷりと世間にイジけた目を見て、あっと思ったのです。

アフロ犬は、KくんやCくんやAくんと同じ目をギラギラと輝かせては、首輪で締め付けた喉をガーガーっと鳴らしながらも、今だに、僕を噛み殺そうとしています。

そこにハァハァと息急きながら22才のオメコ同居人が戻って来ました。
22才のオメコ同居人は、コンビニの袋を開けながら「これ、好きでしょ?」と、勝ち誇ったような笑みを浮かべ、いつも僕が夜中にモグモグしている魚肉ソーセージをブラブラと見せつけました。

「アホ、俺が喰うんじゃねぇよ」

僕はそう言いながら22才のオメコ同居人の手からソーセージを奪い取ると、それのビニールを犬歯でガリガリっと毟り取り、白人のチンポのようにボヨヨヨン♪と飛び出した魚肉ソーセージを、アフロ犬の前にコロコロっと転がしました。

一瞬、アフロ犬のピーンと引っ張られたクサリが緩みました。
ヤツは、クンクンと鼻を鳴らしながら、自分の足下にコロコロと転がって来る白人のチンポを目で追っているのです。

しかし!・・・・・・

ヤツの長年貯蓄された人間に対する怒りは、そんな魚肉ソーセージ1本くらいでは治まりませんでした。
なんとヤツは、ペットちゃんまっしぐらの魚肉ソーセージに「フン!」とひとつ鼻でせせら笑い、再び、猛然と僕に挑みかかって来たのです。

そうです、こいつは、あのシャブボケのKんよりもサムライだったのです!

僕はそんなアフロ犬を、ある意味、認めました。

よし、おまえは死ぬまで人間を恨め。恨んで恨んで、そうやって牙を剥いて、世の中の自分勝手な飼い主共に警告してやるんだ・・・

僕がそうやって、明日のジョーの丹下段平風に、ヤツにシュプレヒコールを送っていると、隣でしゃがんでいた22才のオメコ同居人が、

「逃がす?」

と、ニヤニヤしながら聞きました。

ふふふふ。それもいいかも知れない。
今の平和ボケしたヤツラにGUNJI川俣の惨劇を思い出させるには、怒り狂ったこいつを、この腐った新宿の街に放してやるのもおもしれぇかも知れねぇ・・・が、しかし・・・・

いったい誰がこいつのクサリを放すんだ?

そう思った瞬間、それを察知したのか、22才のオメコ同居人は「私はヤだよ」と言いながら逃げました。

僕もイヤです。
僕は、僕が噛むのは許せますが噛まれるのは許せない性格なのです。

そんな僕は、ゆっくりと立ち上がりながら前屈みになると、セーフティゾーンを保ちつつ、ヤツに小声で言いました。

「おい、悔しかったらよ、自分で鎖を引きちぎれ・・・」

狂ったアフロ犬は、そんな僕の目をジッと見つめながら、牙の隙間からネトーッっと濃厚なヨダレを垂らしてはガウゥゥゥゥゥ・・・っと唸っております。
その時のヤツの、あのアグレッシブな目を、僕は忘れられません。


(子供の頃から、僕の周りではいつもどこかで永ちゃんの歌が流れていました。世の中が不景気だからと諦めている人達に、今こそこの歌を聞いて馬鹿になって貰いたいとちょっとだけそう思います)

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