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大地震と親知らず

2011/03/26 Sat 10:33

    大地震と親知らず
僕は地震と同じくらいのレベルで歯痛が嫌いです。
嫌いというより怖いです。
だから歯医者に行ってきました。
原発とか地震なんて糞っ喰らえなんですが、しかし「もしもの時」に歯が痛くなったら踏んだり蹴ったりになりますので、今のうちにと、長年僕を苦しめている「親知らず」を診て貰いに歯医者に行ってきました。

歯医者。
診察台に横たわると、年の頃は二十代半でしょうか、ピンクのナース服を着た綺麗なお姉さんが僕の首に優しく前掛けを掛けてくれました。

「今日はどうなさいましたかぁ?」

お姉さんがパッチリお目目で僕を見下ろします。
「どうなさいましたかぁ」の「かぁ」と伸ばす所が、オジさんの心を妙にくすぐります。
僕は、そんなお姉さんのパッチリお目目に見つめられながら、「親知らずを・・・」と呟きました。

「痛いんですかぁ?」

これまた「かぁ」と伸ばす所がバカっぽくてカワイイです(見た目は知的っぽいのに中身がバカっぽいというのは典型的なヤリマンです)。
そんなお姉さんは、僕にそう聞きながら、僕の顔を覗いては小動物的にクィっと顔を傾けました。

「いえ、今は痛くないんですけど、ちょっと気になりますので・・・」

さすがに、「もしもの時の為に備えて」とは言えませんでした。
そんな事を言えば、

「地震が恐いんですかぁ?」

と聞かれるのがオチです。
こんなバカなのか利口なのかわからぬヤリマン小娘(想像)に心の内を知られるのは僕のプライドが許しません。
ですから、本心は胸の内にソッと仕舞っておきました。

するとお姉さん(以下小娘)は、いきなり診察台の照明をパチンっと付けました。
そして僕の唇に人差し指をムチっと押し付けながら「ちょっと視てみますねぇ」と、つまり「おいオッサン口開け」という合図を送りました。
僕はそんな小娘の指示通り「あぁん・・・」と口を開きます。
そんな僕の口内をすかさず小娘が覗き込みます。
僕はソッと薄目を開き、そんな小娘を盗み見します。
そして心の中で、

「見ちゃいや・・・」

と、呟きます。

そんな小娘は、暗い洞窟で財宝を見つけ出そうとしている探検家のような眼差しで僕の口内を真剣に覗いております。
そして、おもむろに銀色の凶器を手に取ると、それで僕の奥歯をコンコンっとノックしながら、

「これ・・・痛いですかぁ?」

と、聞いて来ました。

「痛くはないです・・・」

すると小娘は更に奥にまで凶器を突っ込み、

「じゃあこっちは?」

と聞きながらコンコンっとノックしました。

一瞬悩みました。
そんな所は全然痛くも痒くもないのですが、しかしこの小娘は財宝を見つけ出そうと必死なのです。
だから僕は、ここはひとつ彼女の期待に答えて、「そこ、痛いです」と妥協してやるべきではないだろうかと悩んだのです。
それが男ってもんじゃないですか下山さん。
しかしヤメました。
こんな所でそんな男気を出し、もしこの後、お茶の水博士のような先生がやって来た時に「ここか!ここが痛いのか!」などと叫ばれながら、銀の凶器でグリグリされたら堪ったもんじゃありません。
だから僕は、心を鬼にしてキッパリと彼女に言ってやりました。

「全然痛くない」

と・・・・。

すると小娘は、少し落胆した表情を見せながらも、僕の口からソッと銀の凶器を取り出しました。
そして、これ以上は私の手には負えないわ・・・とばかりに、

「先生が御見えになるまでそのまま少々御待ち下さい・・・」

と、まるでいきなり別れ話を切り出す少女のような残酷な目で僕を見つめながらそう呟くと、そのまま後も振り向かず去って行ってしまったのでした。

遠離って行く彼女のスリッパの音を聞きながら僕は、唇に残った彼女の優しい指先の感触を思い出し、1人淋しく灯りの消えた照明を見つめていました。
やはりあの時、嘘でもいいから彼女に「痛い」と言っってやるべきだったのだろうか・・・

そう後悔していると、ふいにどこからかこのシーンに不釣り合いなメロディーが僕の耳に迷い込んできました。
そのメロディーは、なんだかとっても僕の心に夢と勇気と希望を与えてくれます。

そうです、なんとその曲は

アンパンマンのテーマ

なのです。

僕は、強制的に夢と勇気と希望を与えられながらも、「なんだこりゃ?」と、その曲が聞こえて来る隣りの診察台のガラスのパーテーションをソーッと覗いてみました。

そこには小さな子供がいました。
その診察台の前にパソコンのモニターがぶら下がっており、なんとその画面には「アンパンマン」が映し出されているではありませんか。
そして、その子供は診察台の上でゆったりリクライニングしながら、一人のんびりとアンパンマンを見ているのであります。

僕は慌てて自分が座っている診察台を確かめました。
あります。
確かに、僕が座っている診察台の前にもPCの小さなモニターがぶら下がっております。
しかし、僕の診察台のモニターには、なにやら難しい英語や、ややこしい数字なんかがウジャウジャと表示されているだけでアンパンマンも天丼マンも何も映っていないのです!
一瞬、もしかしたらこれは彼女の僕に対する仕打ちなのではないだろうかと勘ぐりました。
あの時、僕が素直に彼女の意思を受け入れなかった為に、彼女は僕にだけアンパンマンを見せてくれないのではないのだろうかと、僕は非常にややこしく、且つ遠回しに彼女を疑ってしまいました。

そんな疑心暗鬼な僕の胸に、隣りから聞こえて来るアンパンマンとジャムおじさんの会話が、まるで池袋の路上で聞こえる「60分モミ放題オッパイパブ」の呼び込みの囁きのように聞こえて来ました。
見たい。
こんな時だからこそアンパンマンが見たい!
僕は今すぐ彼女に駆け寄り、

僕が悪かった!全部痛い!この歯、全て痛いよ!

と彼女の足下で「わあっ」と泣きながら「だから僕にもアンパンマンを見せておくれよ!」と叫びたい気分でいっぱいでした。

しかしそんな謙虚な気持ちとは裏腹に「なぜだ!」という激しい怒りも込み上げて来ました。

「ヤツが子供だからか!」と、お茶の水博士の胸ぐらを掴みながらゲソパンを3発ほど喰らわせてやりたい衝動に駆られました。

「俺だってアダルトチルドレンだぞ!」と、ゲソパン喰らって床に踞るお茶の水博士の頭を、この緑のビニールスリッパでガンガンと蹴飛ばしてやりたい衝動に駆られたのです。

そんな激しい怒りに包まれた僕の脳裏に、トラウマの如くあの時の苦い記憶がジリジリと甦って来ました。
あの時・・・。
そうあれは確か、僕が二度目の懲役を終えたばかりの、狂ったように蝉が鳴いてた熱い夏の日の事でした。
国道沿いのファミリーレストラン。
そこで僕は、なにげに開いたメニューの「お子様ランチ」と出会いました。

絶対にこれが食べたい。

まだ少しムショボケしていたのでしょうか、僕は無性にそう思い、もうソレしかないとソレしか目に入りませんでした。
当時の僕はヤクザです。
一緒にファミレスにいた面々もヤクザばかりです。

まさか刑務所から出所したてのヤクザ者がファミレスでお子様ランチなんて、と皆さんは笑うでしょう。
しかし、出所したてで、びっくりするくらいに味覚が幼稚になっていますから、だからどーしてもそんなモノが無性に食べたくなるのです。

だから僕は、迷う事なくウェイトレスのお姉さんに「コレ」とお子様ランチを指差しました。
するとお姉さんはすかさず「申し訳ありませんが・・・」と引き攣った笑顔でそのメニューを指差しました。
なんと、お姉さんが指差すそのメニューのお子様ランチの下には、

「中学生以下対象」

と、くっきりと赤字で書かれていたのです!

赤字です。
ヤクザの世界では赤字は最も忌み嫌われる表現方法です。
昔の渡世人は「果たし状」を赤字で書いたと言います。
今でも赤字の破門状など出された日にゃ、もう二度と隅田川を渡れません。
そのくらいヤクザにとって赤字は縁起が悪いのです。

「ど、どうして・・・」
僕は今にも泣き出しそうな目でそのメニューに書かれた赤字を見つめ、そしてウェイトレスのお姉さんを見つめました。
そんな僕に、お姉さんは少々脅えながらも「キマリですので・・・」と自分の足下を静かに見下ろします。
キマリ。
出所したてのヤクザ者にとって「キマリ」という言葉はまさしく「絶対」です。
そう、「キマリなんだよ」と言われれば、それはもう何があろうと絶対に覆す事はできないのです。
それが官には絶対服従の懲役なのであります。

「くそっ・・・・」
僕は「キマリ」というその鶴の一声に、握り拳を震わしながらその社会矛盾にグッと耐えました。
極道は我慢の世界です。
耐え難きを耐え忍び難きを忍ぶのが、道を極める極道なのです。

そうグッと耐えている僕を見た兄弟分が、「おい、別にいいじゃねぇかよ」と眉毛のイレズミをカクカクさせながらお姉さんを威嚇しました。
しかしお姉さんもさすがプロです。
たとえ相手が極道だろうとなんだろうと、ダメなものはダメ!とその信念を曲げようとはしませんでした。

結局、その時僕は、そのオムライスやらエビフライやら揚げシュウマイやらミニハンバーグやら真っ赤なスパゲティーやらオマケのプッチンプリンといったバラエティー豊かなお子様ランチを諦めました。
いや、その店の店長とか呼んで直談判すれば恐らく食べれたでしょうが、しかしまぁよくよく考えてみたらそれはとっても恥ずかしい事ですから、素直に諦めました。

しかしあの時の、「子供しかお子様ランチを食べれない」というその社会の不条理と言うか矛盾と言うか、その悔しさはいつまで経っても消えませんでした。

そんな悔しさが今、再びこの歯医者で甦ったのです。

どうしても僕もアンパンマンを見たい。
そんな欲望が診察室で待っている僕の胸に鳴門海峡の如く渦巻きます。

すると、ふいに隣の診察室が騒がしくなりました。
そうです、あの1人優雅にアンパンマンを見ていた隣のちびっこの所に、いよいよお茶の水博士がやって来たのです。
今まで非現実的なアンパンマンの世界にどっぷりと浸かっていたちびっこは、お茶の水博士の登場により瞬く間に現実に引き戻され、突然「ヤダヤダヤダ!」と叫び出しました。

「あらあら怖くないわよ、ほら、アンパンマンと一緒にバイキンマンをやっつけちゃおう!」

そんなお姉さんの声と同時に、すかさずアンパンマンのテーマが流れ出しました。
きっとお姉さんはちびっこの目を盗んでVTRを初めから再生したのです。

なんたる子供だまし!

僕はそんな大人達に怒りを通り越して殺意さえ覚えました。

騙されるなよちびっこ・・・
そんな腐った大人達に騙されるんじゃないぞ・・・
泣け、泣くんだ。泣いて泣いて泣き喚け。
それがおまえらちびっこの最大の武器じゃないか!

しかし、そう僕が隣のちびっこにエールを送るのも空しく、そのちびっこはまんまとその子供騙しに騙されてしまいました。
なんとそのちびっこは、PCのモニターから流れて来るアンパンマンの歌と、そしてお姉さんが耳元でアンパンマンの歌を唄ってくれるという夢の音声多重により、まんまとその志しを捨て、素直に電気ドリルを口内に受け入れては、完全にちびっことしての魂をヤツラに売り渡してしまったのです。

そんなちびっこの診察台から、身の毛もよだつような電気ドリルの音が響いて来ました。
そんな悪趣味な音を聞かされる僕は、何度その場から逃げ出そうとしたかわかりません。

しばらくすると、そんな試練に耐えたちびっこは見事に放免されました。
いよいよ次は僕の番です。
以前、電気ドリルを口内に入れられる瞬間に、おもわず「ひやっ」と看護婦さんの手を握り、しこたま先生に叱られた事のある臆病な僕の番なのです。

先生のスリッパの音が近付いて来ました。
まるで死刑執行を待つ死刑囚のような気分です。

「はい・・・どうされました・・・」

お茶の水博士はそう言うと、いきなり僕の目にパシャ!と強烈なライトをあてました。
おもわず僕は隣のちびっ子のように「ヤダヤダヤダ!」と診察台の上で足をバタバタとさせようかと考えましたが、しかし彼らはそんな子供騙しが通用するような相手ではありません。

「あのぅ・・・親知らずが・・・」
僕は先生にそう告げると、すかさず横にいた小娘に向かって「ウガイしてもいいですか?」と時間稼ぎを申し出ました。

しかしさすがに敵も百戦錬磨のプロです。
ウガイしようとする僕を先生はグッと押さえ込み、「ああ、ちょっと見るからウガイはそれからにして」とそっけなく言うと、僕の口を強引にこじ開けたのでした。

お茶の水博士は、僕の口内を銀の凶器で弄りまくり、その鋭く尖った凶器の先で奥歯の歯茎をツンツンと刺すといった、まるでアウシュビッツのナチスのような暴挙を繰り返しました。

「これ、痛い?」

「いはくあいまへん!」

「じゃあこれは痛い?」

「いはくあいまへん!」

僕はものの見事に全否定しながらも、心の中でアンパンマンの歌を絶叫しては、その歯茎ツンツン攻撃という悪趣味な拷問に耐え忍びました。

すると、全否定されたお茶の水博士は気分を害したのか、いよいよそのサディスティックな本性を現して来ました。

「じゃあ痛くないうちに、この親知らず抜いちゃおっか」

この悪党は、散々人の歯茎をチクチクと弄んでおきながらも、とんでもない脅迫をしてきたのです。

僕は慌てて「いえ、今はまだいいです」と断ると、お茶の水博士は不思議そうに僕を見ながら「ふふふっ」と笑いました。
そして、その勝ち誇ったかのような笑顔のまま「じゃあどうして来たの?」と僕の顔を覗き込みます。

「いや、もし急に痛くなったら嫌だなぁなんて思いまして・・・」

さすがにこの空気の中、大地震が来てから親知らずが痛くなったら怖いから、とは言えませんでした。

「うん。だから痛くない今のうちに抜いておいたほうがいいんじゃないの?」

お茶の水博士は、まるで高価な浄水器を売り付けようとする悪質な訪問販売員のような口調で僕を説得し始めました。

「いえ、今日はちょっと都合が悪いですから・・・」

僕がそうキッパリ男らしくその誘いを断わると、お茶の水博士はちょっと不機嫌そうに「あっそ」と言いながら素っ気なく診察台のライトをパチンと落としたのでした。

ヤリマンだと思われる小娘が「じゃあウガイしてもいいですよぅ」と、診察台をグイィィィンとあげました。
僕はそんな小娘は放っときながら、こっそりと立ち去ろうとするお茶の水博士をもう一度呼び止めました。

「先生、この親知らず、いつ頃痛くなりそうですかね?・・・」

するとお茶の水博士は困ったように笑いながら、

「それはわかりません。十年後にいきなり痛くなるかも知れませんし、もしかしたら急に明日痛くなるかも知れませんし・・・ふふふふふ、なんとも言えませんね」

お茶の水博士はまるで僕に恐怖の暗示をかけるかのようにそうせせら笑いながら、そそくさと次の生け贄が待つ診察台へと去って行ったのでした。

僕は、そんなお茶の水博士の言葉を心の中で繰り返しながら、

それじゃあまるで地震と同じじゃないか!

と、強烈なる恐怖に包まれました。

そんな新たなる不安材料を与えられた僕は、素直に「歯医者なんて来なけりゃ良かった・・・」と思いました。
そして、ガックリと項垂れながら診察台を立ち上がると、ヤリマンらしき小娘が「あれぇ、ウガイしなくてもいいんですかぁ?」と、アンポンタンな顔をして笑いました。

オマンコにイボイボチンコぶっ込んでヒィヒィ言わしたろか姉ちゃん

破れかぶれな僕の頭に、そんな下品な言葉がふと過ったのでした・・・・・。



今、僕は、大地震と親知らずと言う2つの脅威に悩まされています。
この2つはいつ襲って来るかわからないという実にたちの悪い脅威です。
今の僕は、たとえ一時の子供騙しでもいいからアンパンマンに縋り付きたい、そんな思いです。

ですから、そろそろACのCMを何とかして下さい。
あの子宮頸癌のCMのメロディーを聴く度に地震のトラウマが僕を襲うのです。
ちなみに、電車で妊婦さんに席を譲ろうかと悩んでいるあの高校生の目。
あれは変態の目です。
間違いありません。
そしてあの高校生が、階段を上っている老人の後ろ姿を見た時のあの目。
あれは絶対にひったくりのチャンスを狙っている時の犯罪者の目です。
犯罪者の僕が言うんですから間違いありません。

ですから、もうACのCMは結構です。
いいかげん気が狂いそうです。
そりゃあ確かに、「ありがとうさぎ」や「こんにちワン」の次に「いただきマウス」とか「さよなライオン」とか出て来て、挙げ句の果てには、今からサイとかマンボウといった楽しい仲間が~ポポポンと出てくるぞ!なんて言われれば、まだまだ続きが見たくなるのが人情というものです。
しかし僕は今、大地震と親知らずと言う巨大な敵と戦おうとしているのです。
なにが「いただきマウス」か大馬鹿者め!

やいAC!
いちいち僕に指図するな!
節電しろと言うならば、まずはそのしつこいCMをヤメなさい!電気の無駄だ!
そして、買い占めするなと言うならば、その前に店に売るなと言えバカ!
僕に指図するな!
僕には御意見無用だ!


(このモップスの「御意見無用」という歌の歌詞最高です。地震と親知らずに脅える今の僕にはもってこいの曲です)

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